東京の老人ホームに憧れて

November 1, 2011, 3:20 am

私の友人の母親は、東京の老人ホームで悠々自適な生活をするのが夢なのだそうです。友人は3人姉妹なのですが、子どもたちは誰も東京には住んでいないとのこと。母親の友人は何人か東京に住んでいるそうですが、兄弟や親せきがいるというわけでもないらしいのです。それなのになぜ、東京の老人ホームなのでしょうか。東京よりも友人が住む町のほうが料金も安いはずです。まして、近くに住んでいれば子どもや孫と会う機会も多く、何よりも心強いはずなのですが。


東京の老人ホームに憧れているのは、住んだことがないから一度都会で暮らしたいというのが理由とのこと。その他に理由はないのだそうです。正直なところこの話を聞いたときには、失礼ながら少し変わっている方だと思ってしまいました。70歳に近い年齢の方ですし、気軽に遊びに行くというわけでもありませんから。もちろん友人も、どうしたらよいのかと悩んでいました。しかし友人の母親は、せっせと東京の老人ホームのパンフレットを集め、毎日楽しそうに眺めているのだそうです。


聞けば、本当はもっと若いときに東京で暮らしてみたかったけれど、仕事や育児や夫の介護に追われて気が付けば今に至るのだとか。その母親にとっては、やっと自分の好きなように生きられるのが今なのでしょう。ひとり暮らしは寂しいから、東京の老人ホームでお世話になりたいのだそうです。70年という歳月を過ごして、今なお少女のように都会に憧れ、東京の老人ホームに入りたいという夢を実現しようとしているのだと知りました。最初は驚きましたが、今は素敵な生き方なのかもしれないと思えています。私が少女のころに憧れた夢は、海外に住むこと。まだ諦めなくていいのかもしれませんね。